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印刷トラブル防止! ノセとヌキってなに?

印刷のデータづくりでは、「ノセ(乗せ)」と「ヌキ(抜き)」という言葉がよく登場します。
普段なじみがないと、少し難しく感じますが、これは色の重なり方をどう出力するかという大事なポイントです。
印刷の仕上がりを左右する設定なので、DTPやデザインに関わる方はもちろん、入稿をする広報・販促担当の方もぜひ知っておきたい内容です。
今回の記事では、印刷データをつくる際に知っておきたい「ノセ(乗せ)」と「ヌキ(抜き)」の基本と、トラブル事例、解決方法を解説します!
1.ノセとヌキって何?

①ノセ
ノセ(乗せ)……上にくる色が、下の色に重なって印刷される状態。
一般的に、黒い文字や線などはノセにすることで、ズレが起きても下の色が透けにくくなり、白いスキマが目立たないメリットがあります。
【例】
・黒文字 × 写真背景 ⇨ ノセにするとキレイに見える
・濃い色 × 濃い色 ⇨ ノセの設定で色が濁る可能性あり(要注意)
②ヌキ
ヌキ(抜き)……下の色が“抜かれ”て、上の色だけが印刷される状態。
主にロゴや白抜き文字など、下の色と混ざると困る場面で使用されます。
【例】
・白抜きの文字やロゴ ⇨ ヌキで設定(背景に色が重ならないように)
「ノセ」は重ねる、「ヌキ」はくり抜く(上にのせるために下の色を消す)というイメージだよ!
2.トラブルを防ぐためのコツ
・K100%の黒(1色黒)は自動的にノセになりやすい
⇨ ロゴや細い線で黒がノセになっていると、背景色と重なって濁ることがあります。
・白は常にヌキ(オーバープリント不可)
⇨ 白いオブジェクトにオーバープリントを設定しても、実際には印刷されません!
注意!思わぬ落とし穴「オーバープリント」
ノセとヌキの設定に関わるものとして、「オーバープリント(Overprint)」という印刷の設定があります。
これは、上に重ねたオブジェクトを、下の色に“透かすように重ねて”印刷する指示です。
使いどころを間違えると、次のようなトラブルが発生することがあります。
3.オーバープリントのトラブル事例
事例①:黒色(K100)部分が透けてしまった

【原因】
黒色部分の面積が広い場合、黒の下に画像やオブジェクトの重なり部分があると、印刷した際に透けて見えてしまった。
【対処法】
黒にシアンなど他の色を1%足して作成するか、CMYの他の色を少しずつ足したリッチブラック※を使いましょう。
※リッチブラック:K100%にそれ以外の色を何%か足して作られた黒のこと。スミベタと比べてつやのある濃い綺麗な黒になるのが特徴です。
リッチブラックの割合は
「C40% M40% Y40% K100%」
などが一般的です!
事例②:白文字が印刷されなかった

【原因】
白い文字に誤ってオーバープリントが設定されていた。白インキは使われないため、“透明”として処理されて文字が印刷されなかった。
【対処法】
白オブジェクトには絶対にオーバープリントを設定しない。白抜き文字は、ヌキで設定しよう。
4.チェック方法:事前の「分版プレビュー」を活用!
IllustratorやInDesignには、ノセやオーバープリントの状態を確認できる「オーバープリントプレビュー」や「分版プレビュー」機能があります。
また、Acrobatの「出力プレビュー」でもPDFの状態をチェックできます。
入稿前にこの確認を行うだけで、印刷トラブルのリスクが大きく減らせます!
まとめ:印刷データは“見えているだけ”じゃダメ!
ノセやヌキ、オーバープリントの設定は、画面上では気づきにくい落とし穴です。
「見た目通りに出ると思ったら、印刷では色が消えてしまった!」なんてトラブルを防ぐためにも、設定の意味とチェック方法を正しく理解しておくことが大切です。当社では、入稿データのチェックや修正のご相談も承っています。
「不安な点がある」「過去に印刷トラブルがあった…」という方は、お気軽にご相談くださいね!
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